自然な生き方

お酒の話ではありません。

自らを台所研究家と名乗る中村 優さんという方がおられます。
食に関わる様々なことに関わっておられて、
ひと言で説明するのが難しいのですが、
お酒の世界でこれから先なにをやっていけば良いのだろうと漠然と考えながら
誰か面白い人はいないかな、とインターネットを検索していた時に偶然見つけた方です。
フードライターの方が、「人に伝える能力に優れた人」として挙げていました。

何となく興味をもって少し調べてみました。
学生の時から海外でフーテン旅をして、
様々な国で色々な人たちと交わってきたとか、
世界中のおばあさんを訪ね歩いて、
「おばあちゃんの幸せレシピ」という本を作ったとか、
様々な方向から食を考える「40 creations」という会社をつくって、
コンサルティング活動をしておられるとか、
どうやら今はタイに住んでおられるらしいとか。

結構ただものじゃない感は満ちています。

とても興味を持ったので、連絡をとってみました。
便利な世の中になったもので、初対面の方でもオンラインでミーティングができます。
聞けば、タイで日本酒輸入の仕事をしておられるとのこと。
なんとご縁のあることでしょう。
こういう人とお付き合いをして、
色んな刺激を頂きたいなと思いました。

40 creations のウエブサイトのあたまに、
「世の中に、美味しいしわをつくる」という言葉が書いてありました。
おいしいものは、人々を笑顔にする、
それは、時代や国・性別を超えた共通言語。
食事の間でさえ眉間にしわが寄ってしまうことも多い世の中だけど、
人の歴史そのものを表す「しわ」は、やっぱり美味しい笑顔で刻んでいきたい。

結構しびれる文章です。

彼女が「しわ」にこだわり、「おばあちゃん」にこだわる、
そこに興味がありました。
田舎のおばあちゃんのレシピは、
決して美味しいものではないだろうという思いもありました。

彼女の人との付き合いは、
ちょっと独特で、原始的です。
多分、若いときにひとりで沢山の国を渡り歩いて、
多くの人と出会い、多くの経験と失敗をしたからこそ彼女が身に着けた感覚なのでしょう。

彼女はもちろん美味しさにこだわっていますが、
美味しさとは主観的なものです。
彼女の視点は、むしろ誰が作っているのか、というところにあるように思えます。
人にこだわる。
そして、おばあちゃんのなかに彼女が見ているのは、
伝統とか歴史ではなく、
むしろ革新や奔放さのようなものであると感じます。

彼女は、人を「におい」で見分けると言います。
自分の糧になる人を探すには、「におい」で探せと。
いいにおいがする人ってどんな人なのでしょう。

「自分の心に素直で、自然な生き方をしている人」
彼女の表現は感覚的です。
でも何となくわかります。

自然な生き方とは、気楽なニュアンスに聞こえる言葉ですが、
自分の心に素直で、自然な生き方をしている人は、
世捨て人ではないし、フーテンでもありません。
むしろ、前向きでチャレンジングで、一生懸命な人であると思います。

前向きで一生懸命であるけれど、
決して自惚れず、自分の分を受け入れている。
そして相手を受け入れる心を持っている。
そのなかで、笑っている。

中村さんの姿は、非常に強い。
自然な生き方というには、ちょっとエネルギッシュ。
でも、それが彼女の力なのだと思いました。

人との出会いは楽しい。

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