皆さんの知らない「鏡開き」と「鏡割り」の違い

正月には、情報館で恒例の振舞酒が12時と5時の2回行われ、
毎年 合計で600人ほどの方々に、このおめでたいお酒を召し上がっていただいています。
1月の寒~い日にも関わらず、
早い方は1時間半前から並んで待っておられるのを見ると、
本当に頭が下がります。
日本酒スタイリストの 島田律子さん と こばたてるみ さんには、毎年大活躍していただき、
有難うございます。
今年も大盛況でした。


さて、この振舞酒の時に行われる樽を開ける作業のことを、
私たちは「鏡開き」と呼びますよね。
何人かの代表者が木槌を持って、
「いち にい さん、よいしょ!」 みたいな感じで、
事前に開けられている蓋の上を叩く儀式。


これが、私たちが一般的に「鏡開き」と呼んでいるセレモニーです。


でも、これは違うという主張がございます。
これは「鏡割り」であって、「鏡開き」ではない、という主張です。
灘の老舗、菊正宗酒造さんです。


ご存知の通り、菊正宗酒造さんは樽酒を瓶詰した酒を商品化している数少ない蔵元さんです。
樽酒への思いはことのほか強く、
自社の倉庫を使って「樽酒マイスターファクトリー」という
樽酒の文化を知るための施設までお作りになりました。


菊正宗さんの主張される正式な「鏡開き」の儀式とは、
1. まず代表者1名の祝詞に始まり、
2. その方が槌を持ち、
3. 樽の上部を締めている2本のタガを打ち下げて緩めます。
4. 次に木蓋の端を木槌で内側に向けて叩くと、
5 蓋がせり上がってきます。
6. 適当なところで、せり上がってきた蓋を持ち上げ
7. 観客に向かって掲げて見せます。
8. 「見事鏡が開きました」 と言って終わる


蓋を割ることなく、丸い形のままで開けて掲げるというところに、
まさに「鏡」が開いたというおめでたさがあるのだということです。


確かにそれはそうだ。


「是非一度灘にいらっしゃって、ご自分で体験して下さい」
とのお誘いを受け、
昨年の夏(ものすごく暑い夏でした)に、灘の蔵へおじゃましました。
木樽を手作りする職人の技を堪能した後、
私のために用意して下さった水の入った4斗樽に相対し、
木槌をもって、いざ!


ところが、これがなかなかの重労働。
木槌は重く、
タガはきつい。
暑い中で汗をダラダラかきながら、
めげそうになる自分を励まし、
というか周りで沢山のひとがニヤニヤしながら見ているのでやらざるを得なかったのです。
(ちょっと手伝ってもらいながら)
それでも何とかタガを緩めて、
木蓋もきれいに丸のままで開けることができました。


おそらく、
大勢の集まるパーティーでセレモニーとして行う鏡開きは、
従来のような威勢よく数名の代表者で「割る」形式のほうが合っているかもしれません。
でも、
この正式な「鏡開き」方式でびしっときめたら、
これはカッコいいかもしれません。
ただし、
カッコ良くなるまでには、
多少の練習と習熟が必要ですね。


誰かがどこかで、この鏡開きをカッコ良くきめたら、
噂になるかもしれません。


ちょっと気にしてみて下さい。
酒にまつわる豆知識です。









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