平成を彩った日本酒:平成元年から5年

平成という元号で迎える最後のお正月に、
この30年を振り返って、日本酒に何が起こったのかを思い返す機会にしたいと思います。
日本の酒情報館では「平成を彩った日本酒フェア スタンプラリー」というイベントを企画し、
バラエティの時代とも言えるこの時代のお酒を楽しんでいただいています。

さて、 平成元年から平成5年までの時代。


平成という時代は、戦後統制経済の名残りとも言える級別の廃止にスタートしました。
平成元年に「特級」が廃止になり、平成4年には「1級」「2級」も廃止になりました。
特級・1級・2級といっても、

中身はほとんどがアルコール添加のあまり個性の強くない、
いわゆる「冷や良し、燗良し」という酒質でしたから、
料理のコースに酒を合わすというような発想はなく、
最初から最後まで基本的には同じ酒を飲み続ける時代でした。
酒の個性は、個の蔵の個性と地域性が担っていた時代とも言えるでしょいう。



この級別にかわって出てきたのが「特定名称酒」という分類です。
今でもこの分類が業界では幅を利かせています。
「大吟醸」「吟醸」「純米」「本醸造」という米の精米歩合を主たる基準として分類された酒が、

級別にかわる新しい消費者の基準として世の中に流布されました。
ここから、日本酒のバラエティが花開いたのだと思います。
 

新潟の淡麗辛口が時代を作りました。
そして、それとは違う個性を考える地域や蔵元が新しいチャレンジを始めた。
それが間違いなく新しいひとつの時代を拓いたのです。
長野のアルプス酵母、静岡酵母は、今に繋がる技術への切磋琢磨の礎になり、

淡麗辛口の反対に位置する長期熟成酒への視点も見直されました。
何かが変わってきたな、という不安と期待の入り混じった時代でした。

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