2016年10月20日木曜日

テロワールと市販酒の評価③

日本酒の世界にテロワールが真に根付いて、
それが市販酒として様々な場で評価されるようになったら、
恐らく評価の高い酒に対する需要が集中的に高まることが予想されます。
その時には、価格の流動性が問われることになります。

酒の世界は級別審査の名残を色濃く残し、
かつては級別による固定価格が当たり前でありました。
級別審査がなくなった後は、それに代わる基準として特定名称というものが出来て、
より商品スペックに基づいた価格設定がなされるようになりました。
それでも固定価格への執着は収まらず、
結果として、〇〇米を〇〇%精米歩合の〇〇特定名称の酒の価格は大体〇〇円という図式が市場には定着しています。
流通のプロの世界で価格を見積もる要素として、ある程度の数式は必要です。
しかし、物の価値というものは、スペックで決まるものではありません。
まして酒は嗜好品です。

原価を割り込む価格で商品を販売したり、優越的地位を乱用して価格を買いたたくことを良しと思う気持ちはありませんが、価値があって需要があるものを高く販売することが悪いことだとは私は思えません。
希少商品は、ブローカーを経てびっくりするような価格で店頭に並んでいます。
正規取扱い商品ではありませんが、それを買ってゆく消費者のニーズがあることに間違いはありません。
免許を持たぬ不正な業者が卸行為をするのは取り締まるべきです。
ただ、価格は需給バランスが決定するという市場の法則に則り、流動性を持っても良いのではないでしょうか。
製造元や正規代理店がしっかりと利益をとれる仕組みを作ることが業界を発展させることは間違いありません。
利益をとるためには、定まった価格の中でマージンを取り合うのではなく、
商品の価格そのものを上げることを求めるべきです。

製造元は再販価格に責任を持つ必要はありません。
高い価値の商品を作る力を持った製造元は、
存続・発展するために必要な価格で商品を代理店に販売し、
流通は商品の価値と市場のニーズを汲み取って価格を設定する。
この継続によって、市場における商品価格はかなりの幅を持ってくるはずです。
ワインの世界に300円台のワインから100万円のワインがあるのと同じように。

市販酒の評価は、この価格形成に大きな影響を果たすはずです。
日本酒が世界の市場に出て、
さらに発展するためには、
市場が良いと判断する酒を様々な方法で表現する必要があると思うのです。

様々な評価会がプライドを持って競い合い、
消費者にとってより良い指標を与えてくれることを、
心から願っています。

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