2016年10月19日水曜日

テロワールと市販酒の評価②

一般の消費者にとっても、流通・飲食に携わるプロにとっても、
「どこの酒の評価が高いか」 という漠然とした質問は、かなりプライオリティーの高いものです。

自分自身が様々な機会を捉えてきき酒をし、
自分自身の評価基準で良い酒を見つけるという姿勢は大切ですが、
限られた肉体と時間で、すべての酒を評価するのは困難。
となると、なにか基準になる指標をいくつか持っている必要があります。
  
  全国新酒鑑評会
  各国税局の実施する鑑評会
  各都道府県の実施する鑑評会
  杜氏組合の実施する評価会
  IWC
  パーカーポイント
  Sake Competition
  ワイングラスでおいしい日本酒アワード
  燗酒コンテスト

私の知らない評価会も、きっとまだまだ沢山あるのでしょう。

この中で、蔵のなかで一番自信のある酒を出品する評価会と、
一般に市販されている酒を出品(もしくは買付け)する評価会があります。
このふたつは目的が異なります。

前者は蔵元の製造技術を競う評価会です。
美術コンテストのようなものですから、
蔵元として、「最高の技術を注ぎこんだ1点の作品」という色彩が強い。
評価された酒そのものの品質もさることながら、
その酒を造り出した蔵元の技術が評価されます。
酒の専門技術者が真剣に審査して、そのなかでの順位を決めるという性格の評価会です。
順位を発表している会と、金・銀というグループを選別する会がありますが、
審査の得点には順位がついてます。

後者はより消費者に近い評価会であり、
消費者や流通・飲食店の手に入る市販酒のなかで、良いものを評価する会です。
技術を評価するというよりは、消費者にとっての官能を重視する評価といっても良いでしょう。
酒の専門技術者だけではなく、ソムリエ・ジャーナリスト・流通・酒ファンなどを審査員に入れて、より多様な視点から酒を評価するものであること。
また、酒のタイプによって部門を分けて審査しているのが特徴です。

全国新酒鑑評会など、前者の会が清酒の技術向上に寄与した部分は大きいでしょう。
蔵元や杜氏は、金賞を目指して一生懸命の努力を重ね、製造技術を高めてきました。
これからもその位置づけは変わらないと思います。
この角度からの一律的な評価会は、技術研鑽のためには有意義です。

ただ、日本酒のマーケティングを考えるのだとしたら、
消費者や流通・飲食店が一番知りたがっている情報を与える後者の意義が高いと言わざるを得ません。
様々な評価会があって、それぞれがプライドを持って競い合うことによって、
マーケットに正しく、役に立つ情報を供給することができます。
どれが一番と決めることはできないからです。
それはマーケットが長い時間をかけて選別してゆくことでしょう。

それぞれの評価会の結果を、
私はいつもわくわくしながら待っています。

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