日本酒や本格焼酎カクテルを面白く遊ぶ

数年前までは、
「カクテルなんて」と思っていました。

日本酒にしても本格焼酎にしても、酒本来の持つ味わいを楽しんでこその価値であって、
それに香りをつけたり甘味をつけたりして別物に仕上げるという発想に、
どうもいまひとつついてゆけない自分がいました。
日本酒も本格焼酎も、食中酒として食事に合わせるという頑なな思いがあったのかもしれません。

何か所かの居酒屋やバーで飲んだカクテルも、
「まぁ、そこそこ」
それ以上のものでもないし、それ以下のものでもない。
であれば、何も自分が率先して探求するものでもないだろうと思っていました。

平成15年の芋焼酎を起爆とした本格焼酎ブームの時に、
様々なバリエーションをと言って、ソーダ割りを試したことがあります。
でも全然おいしいと思えませんでした。
芋の風味をつめたいソーダが邪魔して、なんだか苦く感じました。

それから15年以上が経ち、
世の中もずいぶん変わってきました。
私の嗜好もずいぶん変わってきました。

若者の支持を集め始めた日本酒を国内外にプロモートするにあたって、
新しい飲み方、
新しい味わいの創造、
見た目の面白さ、美しさ。
これらを実現するために、是非おいしいカクテルを情報館で提供して下さい、と
PRをお願いしているサニーサイドの担当さんから宿題を出されて、
でもカクテルなんて作ったこともないし、
そもそも好きじゃないし、
どうしたもんだと思いながら、しぶしぶ色々と作ってみました。

2011年から日本酒カクテル専門の店を出された
Sake Hall Hibiya Bar さんをはじめ、先人たちのレシピを参考にしながら、
誰でも気楽に作れる、シンプルで美味しいカクテルをと
色々とやってみました。

その結果、私自身がずいぶん変わってきたのを感じます。
作ったカクテルのなかには、おいしいものも、おいしくないものも色々ありました。
でも、そこには間違いなく新しい発見がありました。

私が遅ればせながらやっているくらいですから、
世の中には先進的な取り組みをしている人々がたくさんいるのは当たり前です。
恵比寿 GEMの 千葉麻里絵さんは「足す」というキーワードでフレーバーを酒に加味して、
新しい味わいを作り出しています。
外国では普通にホップや柚子を副原料としたSAKEを作っています。
WAKAZEさんも然り。

日本酒自体のバラエティが多様化を遂げたのと同じように、
日本酒の飲み方にも、様々なバラエティが生まれたととらえるべきなのでしょう。
おいしくて、人々に愛される飲み方であれば、
もはや「日本酒本来の味わい」は、別の次元で議論されるべきなのかもしれません。

昨年の新しい発見は、日本酒+ハーブの世界でした。
ミント・パクチーなどのハーブを、軽快な夏酒と一緒につまむ。
また、日本酒にミントをたっぷり入れて、同量のトニックウォーターを注いだモヒート風。
どちらも爽やかでおいしい。

本格焼酎にも同様な流れがあります。
世界のミクソロジストが新しいフレーバーを求めて本格焼酎にたどり着いたことから、
これまでのお湯割り・水割り・ロックをベースとした本格焼酎の飲み方が、
根本から変化しはじめています。
ジンを起点とした世界的クラフトスピリッツブームに、本格焼酎が伍してゆくために、
本気で取り組むべき時と思います。

私も心を入れ替えて、
日本酒・本格焼酎のカクテルの世界で「面白がって」遊んでみようと思っています。

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