2017年8月2日水曜日

芋焼酎を面白くしたい

先日、鹿児島本格焼酎技術研究会において講演の機会を頂き、
久し振りに鹿児島へ行ってきました。

2003年頃から始まった芋焼酎ブームの頃、
流通の世界で働いていた私は、何度も鹿児島を訪れました。
色々な蔵を回って、
色々な造り手と話をして、
喧嘩をしそうになったこともありましたが、
それまで東京育ちの私には身近でなかった芋焼酎というものが、
初めて手の届くところまで近づいてくれました。

焼酎を通じて出会った鹿児島の人々との触れ合いを通じて、
私は鹿児島と鹿児島の人が大好きになりました。
無骨ながらも暖かく、人情味に厚い気質。
仲間を助けようとする男らしさ。

だから、私は本格焼酎には頑張ってもらいたいと、
いつも心のなかでエールを送っています。

さて、あの夢のような芋焼酎ブームを経て、芋焼酎は全国的に認知され、
薩摩のローカルドリンクから、ナショナルドリンクとなりました。
最初は、一部の地酒専門店が仕掛けて、
日本酒と同じようなブランド志向からスタートした芋焼酎ブームでしたが、
この流れは大きな奔流となり、
一部のマニア垂涎商品から、
大衆のコモディティ商品という、大きな市場を形成するにいたりました。

この大きなコモディティ商品市場の受皿となったのは、
霧島酒造という、意欲的なメーカーです。
大衆の支持を得る的確な商品開発と、時宜を得た設備投資によって、
霧島は、みるみるうちに国内の國酒最大手メーカーにまで上り詰めました。
ほんの40年前にはほとんどなかった本州の芋焼酎市場は、今やすっかり定着し、
確実にファン層を形成しています。

ただ、市場拡大が頭を打ってきたとき、
大手一強の構図が鮮明になってきました。
相変わらず伸び続ける霧島酒造と、下がり始める中小蔵という構図です。
大きくなった市場のなかで、これから先、中小蔵が生き残ってゆくためには、
次のフェイズに移行しなくてはなりません。

今年の4月に政策投資銀行と日本経済研究所が出した「新しい焼酎の時代」という論文に、
そのヒントが記されています。

大衆のコモディティ化することによって市場を得た本格焼酎は、
今度は新たな多様化への模索を始めなくてはなりません。
そうしないと、大手一強の構図はさらに強まり、
中小蔵が必要とされる市場が本当に小さくなってしまうからです。

本格焼酎にとっての多様化とは、何なのでしょう。

私が考えるこれからの本格焼酎が探求すべき多様化とは、
香りの深化であり、
ブレンド技術の深化であり、
テロワールの模索であり、
さらにはジャンルを超えた新しい酒の模索です。

スピリッツは、香りの飲みものです。
香りこそが、スピリッツにおいて最大の魅力であり、
差別化の最大のフックです。

本格焼酎は、日本酒との対抗意識からか、度数を下げて食中酒にという意識が強すぎました。
本来、自分はスピリッツなのだという意識が薄れてきたとともに、
自らが拠って立つべき立ち位置を見失ってはいないでしょうか?
私は、本格焼酎は一度原点としてのスピリッツに立ち返り、
そこにある自らの価値を磨きなおすべきだと思います。
そのうえで、飲み方や料理とのペアリングをもう一度再構築すべきだと思うのです。

香りを深化するためのブレンド技術があり、
香りを深化するためのテロワールがあります。
野菜である芋には、ブドウに負けぬテロワールが必ずあるはずです。

ジンがブームになりつつあります。
クラフトジンという言葉が市民権を得てきました。
ジンの命は香りです。

本格焼酎が、Craft Shochu と呼ばれるために何が必要か。
是非考えてみましょう。

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