人と接すること

昨日は久し振りに中央会に出勤し、来週からのリスタートに向けて準備をしました。
1か月半にわたった在宅は、
少し新鮮でもあり、過ぎてしまえばそれほど感慨もない時間でしたが、
その期間を経て自分が向上したかと問われたら、
残念ながらそれほど向上したとは思えない時間になりました。
これはひとえに自分の精神力の弱さとしか言えないのですが、
私という人間は、少し厳しい状況に置かれた方が、結果としてはより良いものを生み出しているような気がします。
朝から晩まで家にいて仕事をするのは、別に退屈することもないし、
やるべきことはいくらでも見つかるので仕事に不自由もしない。
朝は5時に起きて、運動不足にならないように朝夕の散歩も欠かさず、
家族6人で食事をして。
結婚してから今まで経験したことのないような平和な風景です。
でもどこか物足りない。
鏡に映る自分の顔が輝いていない。

来週からのリスタートにあたってどの程度の感染防止対策を講ずるべきかを考えるために、飲食サービスのプロである上野伸宏さんにメールしたら、遊びに来てくれました。
時間の余裕もあったので色々とお話をすることができましたが、
上野さんの第一声が
「いやぁ、家にいると太っちゃって困ります」
確かに私も太りました。
ちゃんと運動もしているのに、なんか太るのはなぜ?

こうして上野さんとお話をしていて感じる充実感、
そして、久しぶりに職場で同僚と会話をする高揚感。
人と相対して、相手の反応を伺いながら会話を進めるというのは、
食物を食べてエネルギーに替えて排泄するという生命維持活動と同じだと思いました。
他の人が放つ音や光を受けて、自分のなかに取り入れ、自分のアウトプットを出力する。
この活動が、この1か月半に決定的に欠けていた生活の要素でした。
そして、自分にとって人と接して得るエネルギーは、食べ物と同じくらい大切なもので、
さらに食べ物は与えてくれぬ「輝き」をもたらしてくれるものなのだと、
少し大袈裟な言い方かもしれませんが、しみじみと感じたのでした。

この期間に、ずいぶんオンラインミーティングやオンライン飲み会も参加しましたが、
オンラインには決定的に欠けるものが、リアルにはあるのだと思います。
今後ますますオンライン化、リモート化が進んでゆくことでしょうが、
可能な限り、人と会って話をするという活動は、自分の生活に失わないようにしたいと、願うばかりです。

今年の新酒鑑評会は結審を行うことができず、金賞の発表がありませんでした。
事務局は最後まで審査の実現を目指して努力を続けておられましたが、
県をまたいだ交流が制限されるなかで、審査員を集めることができないという結論に至ったと聞いています。

新酒鑑評会の意義を問う声もありますが、多くの製造者が自社の技術レベルをはかる指標として、この審査会を目標に頑張っておられることは事実です。
本気の努力を重ねてきた人にとって、目標を失うことは大きな喪失です。
甲子園を目指して泥まみれの練習を重ねてきた球児も同じ、
全国合唱コンクールに向けて朝練、夕連、週末も返上した練習を重ねてきた合唱部も同じ。
なんとか入賞酒の発表まで行うことができたのは、運営事務局の執念です。
来年以降も、良い酒を飲むことができますように。
これはひとりの愛好家としての気持ち。

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