2018年3月23日金曜日

フレーバータイプの日本酒・焼酎


私は昔から古酒に興味を持っていて、
この「時間軸」のバラエティこそ日本酒の付加価値を最大限に高める可能性を持っているという酒茶論の上野伸弘さんのご意見には大いに共感しています。

ただ、日本の市場では、古酒はなかなか育ってきません。
ならば海外をターゲットにして、
そこから日本へのブーメラン効果を狙ってはと思い、
ジョン・ゴントナーさんに相談したことがありました。
ずいぶん昔のことです。

その時の彼の答えが私にはとても印象に残っているのです。
ジョンさんはこう言いました。
「確かに古酒は魅力があるし、将来的な市場の可能性があるのはわかるけど、
海外の人に古酒を理解してもらうのは、まだ早いと思う。
日本酒のことをほとんど知らない人に魅力的な酒だと思ってもらう切り口は、
やはり吟醸酒だと思う。
吟醸酒の香りに、ほとんどの人はびっくりするはずだから。」

ものごとを本格的に、突き詰めて考える傾向のある私にとって、
とても印象的な言葉でした。

そうか、
知らない人に「おいしい」と思ってもらうことが大切で、
その要素として香りのインパクトは大きいのだ、
ということです。

確かに、香りは魅力的です。
そして香りの強いものは、香りの弱いものを覆い隠します。
その香りがいやな香りでない限り、
香りの強い酒は多くの場合比較優位に立つのです。

カプロン酸エチルの強い酒が市場を席巻した時代がありました。
あの香りに少々飽きがきた今でも、
やはり香りの高い酒は、酒をあまり知らない人にとってわかりやすい酒です。

ここ数年、アメリカからクラフトスピリッツのムーブメントが来て、
日本でもクラフトジンが話題を集めています。
私たちがこれまで飲み慣れた大手のジンと違って、
最近は「ボタニカル」がキーワード。
様々な副原料を使うことで、独自の複雑な香りを楽しめます。
数ある世界のスピリッツのなかでも、
ジンは、まさに自然な香りのバラエティを楽しむ飲み物です。

酒税法の改正によって、ビールにも副原料の使用が認められるようになります。
今年の春から、
大手メーカーはこぞってオレンジピールやコリアンダーなどを使った新しい香りのビールを市場に投入してくることでしょう。
大きな流れになるかどうかは別にして、
強い香りは、弱い香りを覆い隠します。

私は、折角日本酒に興味を持ってくれた若者たちの目が、
こういった香りの飲料に奪われてしまわないか、
とても心配なのです。

であれば、日本酒もフレーバーを求めて冒険をしてはどうか。
新しい香りの副原料を使った日本酒があってもいいのではないか。
そう思っていたら、
さすがに同じようなことを考えている人がいるのですね。
稲川さんという若い起業家の方が、
ボタニカルをキーワードにした日本酒をプロデュースしたというニュースが入ってきました。
素晴らしい試みであると思います。

副原料を使うと、日本酒とは呼べず、リキュールということになります。
でも、そんなことを気にしているのは関係者だけです。
消費者にとって酒税法上の分類など何の意味もなく、
美味しいかどいうかだけに関心があるのです。

本格焼酎も同じこと。
むしろ焼酎こそ香りにこだわるえき飲みものであることを考えると、
どんどん新しい香りの可能性を探求することは、
新しい未来を拓く可能性を持っていると思います。
焼酎なんて、たかだか500年の歴史だと大きな眼を持って、
大胆に今の常識を覆す。
そんな起業家精神を持った方を、業界は求めています。

考えている人は沢山いるはず。
さて、
どこから出てくるか。

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