Kurabito Stay に見る酒蔵ツーリズムのひとつの形

 今年は酒蔵へのインバウンドの誘客を高める取り組みをしようと思っています。

「酒蔵ツーリズム」とお題目のように言っても、酒蔵の意識と様々なインフラが整わなくては、なかなかツーリズムというものは根付きません。

私が中央会にお世話になって以降、通訳案内士向けの日本酒講座を何度も行ってきましたが、今年はもっと各地の酒蔵の力になれるような人材を育成することに傾注したいと思い、まずは東京からのアクセスが良くスキー客を中心に外国人旅行者も多い長野からトライしようとしています。

 

現在、長野県には新潟県に次いで全国で2番目に多い79社酒蔵がありますが、その多くは規模が小さく、ブティック的な酒蔵探訪を楽しむことができます。

海のない長野県は、標高の高い山脈に囲まれた複雑な地形と、豊富で清らかな雪解け水が特徴で、豊かな穀倉地帯でもあります。

面積は全国で4番目に広く、その複雑な地形ゆえに県内の地域はそれぞれに独特な気候・風土と食文化を形成しているため、一言で長野の酒のタイプを語ることはなかなか難しいと言えるでしょう。

佐久エリアには14社の酒蔵があります。新幹線で軽井沢の次の駅ですから、東京からのアクセスで言えば長野県内でも一番便利な地域のひとつと言えるでしょう。

この佐久でインバウンド向けの酒蔵体験施設を運営している Kurabito Stay の田澤麻里香さんを訪ねてきました。

 


この体験施設は橘倉酒造さんの建物の一部を宿泊施設に改装して運営されています。コロナ禍の直前にオープンしたため知れ渡るのに少し時間を要しましたが、現在は日本人と外国人を含む多くの方々がちょっと非日常な酒蔵体験を楽しんでおられているとのこと。

本当に良かったですね。

酒蔵体験は土日の12日コースと金土日の23日コースがあります。あまり詰め込んだ重労働体験ではなく、蒸米から仕込みまでの工程と甘酒造りをゆったりと楽しんでいいただける内容になっています。さらに地元臼田地区の飲食店とタイアップした Usuda Kurabito Friendly Map を作って、地元をしっかり楽しんでいただける内容を盛り込み、地元の活性化にも貢献しておられます。橘倉酒造以外の地元の酒蔵も協力的で、講師を引き受けてもらったり、良好な関係を作っておられる様子。素晴らしいです。



夏の期間には地元のサイクリングもコンテンツに盛り込み、地元の何気ない風景を楽しむアドベンチャーツーリズムも行っているとのこと。これも素晴らしい取り組みだと思います。

宿泊施設はとても簡素ながら和のテイストをしっかり盛り込み、非日常ながら清潔で酒蔵らしい体験コンテンツとなっています。1階にあるコミュニティースペースには酒のディスペンサーがあって、参加者は飲み放題だそうで。

酒のお強い海外からのお客様はさぞお喜びのことだろうと思う一方で、提供側はちょっとびっくりひやひやなのではと思ったり。





帰りには Kurabito Friendly Map を参考に地元の鳥料理やさん「鳥忠」を訪問して、地元の名物である「むしり」を頂きました。皮はパリパリで肉はジューシー。

驚きのうまさとはこういうことと感心した次第。





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